鬼殺隊を立ち上げ1000年もの間、鬼殺に心血を注ぎ続けた一族である産屋敷家について。
鬼滅の刃自体が産屋敷家によるお家騒動が元となっているだけに物語に重要な一族となる。
鬼殺隊の運営、呪いによる短命、鬼舞辻無惨との関係性など謎に包まれた部分が多い。
作中での役割は産屋敷はお館様と呼ばれる鬼殺隊の最高統括者でありながら、当主以外も一族で活躍していますので最終話までの産屋敷家の行動をまとめました。
産屋敷家とは
鬼殺隊を創設し、鬼舞辻無惨を討伐することを悲願としている一族。
先見の明により一族は財を成し、私費で鬼殺隊を運営している。
産屋敷家の当主は代々鬼殺隊の最高責任者を担い、隊士たちから「お館様」と呼ばれている。
一族の先祖に当たるのが無惨であり、同じ血筋であることから呪いにより一族の人間はみんな病弱ですぐに死んでしまう。
いよいよ一族の血が絶えそうになった時に神主から「一族の血筋から鬼が出ているので鬼を倒すことに心血を注ぐように」と助言を受け、代々神職の一族から妻を娶ることで子供も死にづらくなったがそれでも男子は30歳まで生きられず、女子は13歳までに結婚して姓を変えなければ死ぬ。
無惨にとっては鬼殺隊を従えるこの産屋敷家の命を狙って本拠地をずっと探し続けている。
第97代当主 産屋敷耀哉
初登場は那多蜘蛛山後の柱合裁判。
呪いにより初登場時には病はかなり進行している状態で、幼い頃より体が弱く刀を振っても10回もしないうちに脈が狂って倒れてしまうほど。
耀哉の父である96代当主は繊細な人で隊士たちが傷つき亡くなることに耐えられなくなり、19歳で自害。
輝利哉と違い、耀哉には複数の男兄弟がいたが呪いによりみんな短命で亡くなり、唯一生き残った耀哉が4歳で97代当主に就任した。
耀哉には鬼殺隊員であっても柱の階級しか会うことができない。
持ち前のカリスマ性で柱たちから信頼と敬意を払われており、隊員たちのことを「私の子供たち」と言って名前で呼んでいる。
殉職した隊士たちの墓参りは毎日欠かさずしている。
産屋敷家特有の先見の明も持ち合わせており、その予知能力を持って鬼の情報と共に隊士たちを配置する指揮能力を生かしている。
その耀哉の持つもう一つの特殊能力は1/fゆらぎボイス。
1/fゆらぎとは、
電車の揺れ、小川のせせらぎ、ろうそくの炎の揺れ方、ひいては人間の神経細胞が電気信号をお送る間隔と同じである。
人の生体は五感を通して1/fゆらぎを感知する生体リズムと共鳴し、心地よい感覚を味わうことができるため、その声を聴いた者に安らぎを与える。
ただ話すだけでヒーリング効果を持つ耀哉の前では柱たちは平服し、耀哉を殺すために乗り込んできた無惨さえも押し黙る。
記憶が戻る前の霞柱・時透無一郎も「父」と慕っていたほどで、耀哉いわく今の柱たちから慕われているので自分が死ぬことで柱の士気が上がるとのこと。
岩柱の悲鳴嶼さんも「あの方はいつもその時人が欲しくて止まない言葉をかけてくださる人だった」と厚い信頼。
病状も悪化してとうとう起き上がることもできなくなったころ、鳴女の血鬼術により産屋敷邸を突き止めた無惨が自らの手で耀哉を葬り去るため単身で訪れる。
目の前に現れた無惨に対しても穏やかな口調で語りかけ、その声に敵意を削がれたところを何の前触れもなく屋敷にいた妻子ともども爆弾で自害。
無惨がその爆発で飛び散った細胞を再生させようとしたところで珠世が鬼を人間に戻す薬を自身ともども吸収させることに成功する。
慈悲深く、他人の心に寄り添う当主の像から目的のためなら手段を選ばないと言う本来の姿を見せたかのような最期でした。
産屋敷あまね
97代当主の耀哉の妻。
病状が悪化した耀哉に変わって柱合会議の代理を務める場面もある。
白髪の女性で17歳の時に当時13歳の耀哉に見合い、耀哉の「貴女が嫌なら私からこの話は断ります」と言う思いやりに結婚を決意。
旧姓は「神籬あまね(ひもろぎ)」で神籬家は代々神職の家系である。
5人の子供がおり、内訳は男子が1人と女子が4人の五つ子。
子供たちは全員あまねによく似ている。
体調の悪い耀哉の代理で時透無一郎を鬼殺隊へ勧誘しに行った張本人。
この際、無一郎のあまねの印象は「白樺の木の精」と思うほど美しい容姿とのこと。
最期は無惨が訪れた産屋敷邸で自爆により死亡。
第98代当主 産屋敷輝利哉
耀哉の5人の子供の中で唯一の黒髪で唯一の男子。
初登場は炭治郎の最終選別の案内役で妹たちとともに登場。
その際は産屋敷家の呪いの厄除けで男子は13歳までは女子として育てられるため女装した姿。
父である耀哉がの自爆により、8歳で98代当主に就任し、無限城戦で指揮を執る。
五つ子の兄妹構成
姉:ひなき、にちか
妹:かなた、くいな
※姉二人は両親と共に爆発で死亡、妹たちは無惨討伐後も輝利哉と共に生存。
女装の時は前髪を姉妹と同じく下ろしていたが、当主になってからは前髪は分けておでこを出している。
柱合会議
産屋敷の当主と会えるのは基本的に柱のみで柱合会議を取り仕切るのが産屋敷当主の務めの一つ。
柱合会議は半年に一度鬼殺隊本部で行われる。
作中では3回行われたが、全て取り仕切ったのは違う人物。
1度目は当主である耀哉が鬼を連れた隊士の処分について柱合裁判を行ったとき。
2度目は耀哉の病状が悪化したため妻のあまねが代理を務めた刀鍛冶の里編後の痣の解説が行われたとき。
3度目は輝利哉の代で無惨を倒した後の柱が義勇と実弥の二人だけになり、鬼殺隊の解散を言い渡すとき。
柱合会議では柱たちとの情報交換や新規で就任した柱のお披露目などが行われる。
最終選別試験
産屋敷家が主催している鬼殺隊に入隊するための試験。
作中ではお館様の子息たちが案内人として入隊希望者にルールの解説などをしている。
藤の花が年中咲いている藤襲山で行われる試験で、山に鬼を閉じ込めて試験突破の条件はそこで7日間生き抜くこと。
他にルールはなく、鬼を倒さなくてもよくて7日間生きている以外に条件はない(療養しているだけでもOK)。
参考までに炭治郎の時には20人参加で残ったのは5人で水柱の冨岡義勇の時は錆兎1名の死亡の他は全員突破。
無一郎もこの最終選別試験を利用していることから鬼殺隊員は全員この試験を受けている可能性が高い。
悪鬼滅殺を掲げる鬼殺隊として試験制度を存続させるために鬼を飼うと言うのは疑問が生じる。
通常の鬼は人間を餌として人間を喰わなければ死ぬため定期的に人間(隊士希望者)を投入していることになる。
殉職率の高い鬼殺隊だけに補充も必要で希望者を募って最終選別で振るいにかけ、実践で戦える隊士を確保する名目の試験。
実際には試験突破後の任務で怖気づき、戦えないものもいるので多少手荒でも試験突破のルールが生存であれば死を恐れる者はこの時点で辞退するので振るいにかける意味では覚悟が試せるのかも知れません。
時透無一郎のスカウト
鬼殺隊には先ほどの最終選別に希望者が参加し、突破して入隊するのがスタンダードではあるが経緯が異なる者もいる。
岩柱の悲鳴嶼は死刑囚となった際(無実)に若き日のお館様に出会い、産屋敷の力で解放され勧誘ののち入隊した稀な入隊ルートです。
悲鳴嶼の場合は死刑囚になった原因が鬼の襲来により、寺の子供たちが惨殺されたためなので、無実の罪で捕まった人間がいれば産屋敷家に情報が入るは想像できます。
産屋敷家であれば、生き残った人物が素手で一晩鬼を殴り続けていたと言う情報もあったでしょうから身寄りがなく、社会的にも追い詰められている戦闘センスのある体格の良い人物は是非とも入隊してもらいたいでしょうから聞きつけてと言うのも理解できます。
特殊なのが同じ勧誘でも産屋敷家の力を使って突き止めた熱心な勧誘である今回の時透家。
時透兄弟の勧誘には妻の産屋敷あまねが出向いています。
時透兄弟は景信山と言う山に杣人ととして暮らしていたため病状が進行している今のお館様では辿り着くことができないからでしょう。
両親を亡くした幼い兄弟を魅力ある台詞を並べて説得しますがしっかり者の兄である有一郎は正論ながら厳しい物言いをするためあめねを追い返し、何度も訪ねてくるあまねに水をかけて更に追い出しています。
時透家は始まりの呼吸の剣士の末裔で鬼から人を守る鬼殺隊に入って欲しいと言う願いを純粋な無一郎少年は興奮して聞き入っていたので兄弟仲を悪化させてしまいます。
あまね(産屋敷家)が熱心に時透兄弟を勧誘するのには事情があり、隊士の質が年々下がっているのに対して最高位である柱は殉職が続き、埋まっていない状態。
産屋敷の先見の明では始まりの呼吸の戦士の末裔である時透兄弟は継国縁壱の能力を受け継ぎ、即戦力となると見越していたのでしょう。
ただし、正確には継国巌勝の末裔であるのは分かっていたのか、双子なので同じDNAにより産屋敷の見立てでは縁壱の能力を受け継いでいると見て話さなかったのか。
時透の父はただの杣人でしたが赤い眼をしていたのでもしかすると鬼殺隊に入っていたら無一郎と同じく柱に上り詰めるほどの才能があった可能性も十分にあります。
結局は鬼の襲来により有一郎を失い、無我夢中で鬼を倒した瀕死の無一郎の元にたまたまやって来たあまねにうよって救出されて産屋敷家で療養し、記憶がないまま刀を握り2か月で柱になったのですから産屋敷家の予想通りになりました。
記憶が無いのをいいことに入隊させたようにも取れるので亡くなった有一郎が唯一守りたかったことを無視されてしまっていますが。
時透家を襲った鬼の襲来の予知が出来たのかどうかは分かりませんがあまねの登場はたまたまであってほしいです。
時透兄弟の実力を試すために鬼に襲われるように仕向けたり、鬼の襲来を予知していたけど様子見したなどではないと思いたいです。
産屋敷家の素性の謎
産屋敷家は鬼の始祖である無惨を輩出し、同じ血筋であることによる呪いに対抗するために鬼殺隊を立ち上げて鬼狩りに心血を注いでいるだけで、ボランティア精神で私費を投入しているわけではありません。
鬼殺隊員たちは比較的高給(特に柱は無制限)で雇われている給与制です。
しかし、仕事ではありますが大切な人が鬼によって命を奪われた悲しみから幼いながらに鬼憎しの気持ちで鬼狩りをしている者も多い。
鬼狩りしか知らないような年齢から鬼殺をしている者が殆どで純粋に任務に明け暮れているが産屋敷家についての情報はどれほどのものだったのでしょうか。
唯一お館様に会うことができる柱は殉職率が高いのもあって入れ替わりが激しいため、産屋敷と無惨が同じ血筋と言うことを知っている者はいるのだろうか。
作中でも同じ血筋であることは2回出てきていますが11巻の上弦の陸撃破に歓喜した際に「我が一族唯一の汚点」と言い、次は無惨襲来の耀哉とあまねと無惨しかいない場面です。
自爆の話も悲鳴嶼にしかしていないので話していたとすれば悲鳴嶼だけと言うのが濃厚ですが隊士たちは誰も知らないと言う可能性が一番高いのではないでしょうか。
そうなると産屋敷一族に対して、都合の悪い情報は伏せた状態で鬼殺隊を運営し、若い命を長年脅かしているようにも受け取れます。
時透家の勧誘に関しても日の呼吸の末裔と言うのは本当ですが詳細は鬼殺隊を裏切り、当時の当主の首を無惨に献上して鬼になった裏切り者の末裔であったこと。
これをそのまま伝えてしまうと勧誘の材料になりませんので都合の悪い部分は伏せたのかとも取れます。